「インターネット・クソ文体」に関する覚書

BLOG / 2018/11/22 7:33pm

社内向けの簡単なメモとして書いた文章ですが、せっかくなので公開しておきます。

はじめに

わたしたちは、メディア企業としてインターネットに蔓延る「インターネット・クソ文体」を拒絶した、まともなコンテンツをつくる必要があります。

まず前提として、「インターネット・クソ文体」とは以下のような特徴を持っています。

・「いかがでしたでしょうか?」という意味不明な問いかけ
・「〜かもしれませんね」など、物事を断定しない知的不誠実さ
・「〜ですね」という過剰な同調要求

上記は事例に過ぎず、こうした文体・知的怠慢さに代表される姿勢を「インターネット・クソ文体」と呼びます。そのため、「インターネット・クソ文体」とはある特定の文体・語法を指したものではなく、コンテンツ全体を覆う思想・在り方だと言えます。

基本的なルール

「インターネット・クソ文体」を判断するためにはケースバイケースでの判断が求められますが、一定のルールを定めることでそれを避けることも可能になるかもしれません。そこで、簡単なルールを下記に定めます。

  1. まず大前提として、メディアなので、「多いのではないでしょうか」みたいな文は避ける。メディアに正しい情報を取りに来てるのに、「いかがでしょうか?」とか「かもしれません」とか「ではないでしょうか」みたいな曖昧な書き方は基本的に悪である。断定できない情報は、「と言われている」や「可能性がある」といった表現がのぞましい。
  2. 「◯◯について紹介しますね」「ここまで◯◯について紹介してきました」のように、内容を読めば分かることを確認することは無駄。たとえば、「餃子の美味しい焼き方」について探しに来ているユーザーに対して、「餃子は、美味しく焼けるほうが良いですね」という自明の問いかけをおこなうことはナンセンスである。
  3. 同じことを繰り返したり、言い換えたりする冗長な文章は基本的に品質が低い。アカデミック・ライティングとまではいかないが、一文一義を徹底し、パラグラフ・ライティングを意識する。冗長で長ったらしい文章が許されるのは、ポスト・モダニストだけである。
  4. 「しかも」「また」という接続詞は多用せず、用いる場合は必ず前の文との論理的整合性があることを確認する。「富士山は高いです。しかも小籠包は美味しいです」といった接続は意味不明だが、世の中に散見される。
  5. 「〜です」「〜でしょう」「ます」といった語尾は、少なくとも前後の文でかぶらないようにして、パラグラフ内で連続することがないようにする。
  6. 具体的な企業名・個人名を書く。日本のメディアでは、具体的なサービス名や人名を出して説明することが少ないが、それは好ましくない。「SNS」などの曖昧な書き方をするよりも、FacebookやTwitterといった具体名を出し、企業名でも「商社」や「広告代理店」ではなく、三井物産や博報堂と書くべき。もちろん実名を出すことは責任を伴うため、憶測で記したり適当に名前を出すことは絶対に避けなくてはいけない。
  7. 上記と関係するが、データやビジュアライゼーションを多用すべき。具体的な数字・データをもとに説得力のある文章であることが必須で、「〜という人が多い」「〜がたくさんある」といった曖昧な多寡を述べることは避ける。

ダメな文

最後に、具体的にダメな文を見ておきましょう。

東京に住む人の中には、東京の中でどこを観光すれば良いかを悩んでいる方も多いのではないでしょうか?実は東京にはたくさんの観光スポットがあるので、どこに遊びに行ったら良いかをもしかしたら悩んでしまうのではないでしょうか。そこでこれから、東京でオススメの観光スポットをかなり紹介します。たくさんの人が訪れる東京には賑やかなショッピングエリアから、デートにも使えるロマンチックな場所がとてもたくさんあるので、この記事を見て悩んでみてくださいね。(中略)いかがでしょうか?ここまで東京の観光スポットを21個紹介してきました。東京に来る人はみんなどこに行けば良いか悩んでいますが、この記事を見て自分の行きたいところを決めてみてくださいね。

上記の文章、冗談のようですがインターネットには珍しくはありません。論文やレポートまでとは言いませんが、論理的な文章・スマートな文章は、他人に何かを伝える上では必要最低条件となります。ともに、世界から「インターネット・クソ文体」をなくしていきましょう。

(石田健)